丹波篠山の豊かな風土を、瓶に詰める
マルカン酢の新たなフラッグシップとなる純米酢をつくるにあたり、まずは原料にこだわりたいと考えた髙岡さん。 自然と「地産地消」という言葉が浮かんだといいます。
「兵庫県は気候風土を生かした農業が盛んな県ですので、まずは地元産の米を吟味していきました。 そんな中、ご縁をつないでいただいたのが丹波篠山にある『丹波たぶち農場』さんです。 丹波篠山は周囲を山々に囲まれた盆地で、土壌は粘土質で栄養に富み、昼夜の寒暖差が農作物をおいしく育てるといわれています。 丹波たぶち農場さんでは『丹波篠山産特別栽培米コシヒカリ』というおいしい米を作られているほか、黒枝豆やいちごなど多彩な農作物を育てています。 社長さんもやる気にあふれ、若い人たちの就農にも積極的。 こうした若いエネルギーにも刺激をもらいました」
この「丹波篠山産特別栽培米コシヒカリ」の栽培においては、田植えや稲刈りにマルカン酢社員も参加。 また初の試みとして、お酢づくりの過程で発生する「酢粕」を肥料の一部に使う取り組みも行われています。
「そもそもお酢は酒からできていて、純米酢であれば日本酒の仕込みと同様、米を蒸し、麹を作って、酵母を添加してアルコール発酵させます。 ここからもろみを圧搾して酢酸発酵を行うのですが、そのまま搾ってしまうと清酒(搾りかすは酒粕)になり、酒税がかかって価格が跳ね上がってしまうんです。 そこで、酒として飲めなくするための不可飲処置として、既にでき上がっている酢をもろみに混ぜ込みます。 こうして圧搾したものが仕込み液となり、搾りかすが酢粕です。 酢粕は年間700kgほど出るのですが、酸味があるため食用や飼料用に不向きなことから、これまで廃棄されていました。 丹波たぶち農場さんではもともと実を収穫したあとの枝を堆肥にするなど循環型の農業をされていたので、酢粕も再利用してみようということになったんです」
ここ数年の取り組みなので、まだはっきりとした効果はわかっていませんが、酢粕にも米由来のアミノ酸や糖分、ミネラルなどが含まれることを考えると、稲や土壌の栄養になってくれると思う、と髙岡さん。 そしてもうひとつ、「水」もお酢づくりの大きなファクターです。
「米と同じ土地の水を使いたいと考え、丹波篠山で長く酒づくりをされている酒蔵さんの井戸水を使わせていただくことになりました。 丹波篠山は3つの河川の源流地域でもあり、地下に流れる伏流水が非常に豊かなことでも知られています。 とてもやわらかい、おいしい水なんですよ」